派遣の辞め方|契約満了・途中で辞める・派遣会社の登録解除まで4つの形で整理

派遣の辞め方

派遣の辞め方は、契約満了で更新しないなら1か月前を目安に派遣会社へ伝えるのが基本です。契約の途中で辞めるには「やむを得ない事由」が必要で、無期雇用派遣は2週間前の申し入れで辞められます。

この記事でわかること

  • 派遣の辞め方は4つの形で手順と法律の根拠が変わること
  • 契約の途中で辞めるときの「やむを得ない事由」と違約金の扱い
  • 2025年4月から自己都合退職の給付制限が原則1か月になったこと
  • 派遣会社への伝え方の例文(電話・メール)
  • 派遣会社の登録解除の手順と、解除しても残る記録

この記事の要点

  • 辞める連絡は派遣先ではなく派遣会社へ先に入れる
  • 更新しないなら契約満了の1か月前までに伝えるのが目安
  • 契約の途中で辞めるにはやむを得ない事由が要る(民法628条)
  • 「途中で辞めたら違約金」という約束は労働基準法で禁止されている

「今の職場を辞めたい。でも契約期間が残っている」「誰に、いつ言えばいいのか分からない」。派遣で働く人から多い相談です。

辞め方は、何を辞めるのかで大きく変わります。派遣先の仕事を契約満了で終えるのか、途中で辞めるのか。それとも派遣会社との登録そのものを終えるのか。この記事では4つの形に分けて、手順と根拠を整理します。

辞めたあとの仕事を先に探しておきたい方へ。求人の多い派遣会社に登録しておけば、次の職場を並行して比べられて安心です。

目次

派遣の辞め方は4つの形で手順が変わる

派遣の辞め方は、「契約満了で更新しない」「契約の途中で辞める」「無期雇用派遣を辞める」「派遣会社の登録を解除する」の4つに分かれます。伝える時期も法律の根拠も、どれに当たるかで変わってきます。

前提として、派遣社員の雇い主は派遣会社です。働く場所は派遣先でも、雇用契約を結んでいる相手は派遣会社になります。そのため、どの形でも最初の連絡先は派遣会社の担当者です。

派遣の辞め方4パターンの早見表

辞める形伝える時期の目安根拠・ルール
契約満了で更新しない満了の1か月前まで契約どおり終わるので理由は不要
契約の途中で辞める分かった時点ですぐやむを得ない事由が必要(民法628条)
無期雇用派遣を辞める2週間前まで(就業規則も確認)申し入れから2週間で終了(民法627条)
派遣会社の登録を解除いつでも就業中なら先に契約を終える

登録型派遣で働いている人の多くは、上の2つのどちらかに当たります。いちばん揉めにくいのは、契約満了で更新しない形です。

自分の辞め方がどれに当たるか確かめる順番

  • まず「何を辞めたいのか」を決めます
  • 1派遣会社との雇用が無期か有期か無期雇用派遣なら、申し入れから2週間で辞められる(民法627条)
  • 2有期なら、契約満了まで待てるか待てるなら「更新しない」を満了1か月前までに伝える。理由は要らない
  • 3待てないなら、やむを得ない事由があるか体調の悪化、家族の介護、契約と違う仕事、ハラスメントなど。派遣会社に相談して合意で終える
  • 4派遣会社そのものを辞めるか就業中の契約を終えてから、登録の解除や連絡停止を頼む

どの形でも、最初に連絡する相手は派遣先ではなく派遣会社の担当者です。

図:雇用の種類→満了まで待てるか→事由の有無→登録の扱い、の順で自分の辞め方が決まる。

契約満了で更新しないときの辞め方

契約満了で辞めるなら、満了日の1か月前までに「次は更新しません」と派遣会社へ伝えるのが目安です。契約どおりに終わるので、理由を詳しく説明する必要はありません。

1か月前という期限は、法律で働く側に課された義務ではありません。ただ派遣会社は、派遣先と次の契約を話し合い、後任を探す必要があります。更新の意思確認は満了の1か月前ごろに来ることが多いので、その時点で答えを決めておくと、話が早く進むはずです。

更新しないと伝えるときの流れ

  1. 契約書(就業条件明示書)で満了日を確かめる
  2. 派遣会社の担当者に電話かメールで「更新しない」と伝える
  3. 派遣先への伝え方とタイミングを担当者とそろえる
  4. 最終日までの引き継ぎと、貸与品の返却日を決める

派遣先の上司に先に話してしまうと、派遣会社が知らないまま話が進み、行き違いのもとになります。コーディネーターの側から見ても、本人から先に聞けていれば派遣先への説明がずっと楽です。

電話で伝えるなら、次のくらいで足ります。

「〇月末で満了する〇〇社での契約についてご相談です。今回は更新せず、満了で終わりにしたいと考えています。派遣先へのお伝えの仕方を相談させてください。」

更新しない場合の失業給付(基本手当)の扱いは、更新を希望したかどうかや、派遣会社から次の仕事の紹介があったかで変わります。この部分は派遣切り・契約満了の対処法で場面ごとに整理しています。

契約の途中で辞めるときのルール

契約期間の途中で辞めるには、「やむを得ない事由」が必要です。期間を決めた雇用契約は、原則としてその期間は続けることが前提だからです。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」でも、有期労働契約を満了前に辞めるには、やむを得ない事由がなければならない(民法628条)と説明されています(厚生労働省「確かめよう労働条件:退職、解雇、雇止めなど」)。

やむを得ない事由として相談しやすい例

状況例派遣会社への伝え方
本人の健康体調を崩して働き続けられない診断書があると話が早い
家族の事情介護・看病で勤務が難しいいつから難しいかを具体的に
契約と違う仕事明示された業務と中身が違う契約書の記載と実際の差を伝える
職場の問題ハラスメントを受けている日時と内容をメモしておく

「人間関係が合わない」「思っていた仕事と少し違う」くらいだと、やむを得ない事由とまでは言いにくいのが実情です。その場合でも、派遣会社に相談すれば、合意のうえで契約を早めに終えられることがあります。まずは相談するのが近道です。

「1年を過ぎればいつでも辞められる」の読み違い

労働基準法137条には、1年を過ぎればいつでも辞められるという定めがあります。ただしこれは、契約1本の期間が1年を超える場合の話です(同じく「確かめよう労働条件」の記載)。

派遣でよくある3か月ごとの更新は、1本ずつの期間が1年以内です。通算で1年以上働いていても、この条文をそのまま当てはめることはできません。ネット上では「1年以上働いたら自由に辞められる」と書かれていることがあるので注意してください。

違約金を請求されることはあるか

「途中で辞めたら違約金を払う」という約束は、労働基準法16条で禁止されています。あらかじめ金額を決めておくこと自体ができません(栃木労働局「賠償予定の禁止(第16条)」)。

一方で、本人の責任で実際に損害が出た場合に、その賠償を求めることまでは禁じられていません。無断で来なくなるような辞め方は避け、派遣会社と話して終える形をとるのが安全です。

自己都合で辞めたときの失業給付

正当な理由のない自己都合退職だと、失業給付には給付制限がかかります。2025年4月1日以降に辞めた場合、給付制限は原則1か月です。それより前は原則2か月でした(厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」)。

退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けている場合は3か月になります。「2か月待つ」と書かれた古い情報も残っているので、辞めた日付で確かめてください。

途中で辞めるときの手順と伝え方の例文

途中で辞めると決めたら、派遣会社への相談→最終日の合意→派遣先への挨拶の順で進めます。派遣先に直接「辞めます」と言うのは最後です。

  1. 派遣会社の担当者に、辞めたい理由と希望の時期を伝える
  2. 担当者が派遣先と話し、最終日と後任の手配を決める
  3. 決まった最終日に向けて引き継ぎ資料をつくる
  4. 派遣先の上司と職場に挨拶し、貸与品を返す
  5. 派遣会社から離職票などの書類を受け取る

電話がつながりにくいときは、メールで要点を送ってから電話で話すと伝わりやすくなります。

件名:就業中の契約についてのご相談(氏名) 〇〇様 いつもお世話になっております。〇〇社で就業中の〇〇です。体調の悪化により、契約期間の途中ですが就業を続けることが難しくなりました。〇月〇日ごろまでで終了できないか、ご相談させてください。診断書は必要であればお送りします。お手数ですが、お電話でお話しできる時間をお知らせいただけますと助かります。

理由は、事実を短く書けば十分です。派遣先への不満を長く書くより、「いつまでなら働けるか」を添えるほうが話が進みます。

次の仕事を探すなら、辞める手続きと並行して始めておくと空白期間を短くできます。登録や面談には1〜2週間かかることもあるからです。

辞めたあとの空白期間を短くしたいなら、手続きと並行して次の求人を見ておくのが近道です。求人数の多い会社なら、条件を比べながら選べます。

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無期雇用派遣を辞めるときは2週間ルール

無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない契約を結んでいます。この場合は、申し入れから2週間で辞められるのが民法の原則です(民法627条・「確かめよう労働条件」)。

登録型のように「満了まで待つ」「やむを得ない事由が要る」という話にはなりません。ただし派遣会社の就業規則で「退職は1か月前までに申し出る」などと決められていることがあります。引き継ぎのことも考えると、就業規則を確かめたうえで早めに伝えるのが現実的です。

無期雇用派遣は、派遣先が変わっても雇用が続く働き方です。仕組みの違いは派遣の働き方3種類の違いで整理しています。

派遣会社そのものを辞める|登録解除の手順

派遣会社を使うのをやめたいときは、登録の解除(退会)か、連絡の停止を頼みます。就業中なら、先に今の契約を終えてから手続きしてください。

登録解除と連絡停止のちがい

方法できること向いている人
登録解除(退会)登録情報の削除を頼むその会社はもう使わない
連絡の停止求人の電話・メールを止めるしばらく休むが、いずれ使うかも

手続きは、会社のマイページや問い合わせフォーム、電話で受け付けていることが多いです。メールで頼むなら、次のように書けば通じます。

件名:登録解除のお願い(氏名・登録番号) 〇〇様 登録している〇〇です。今後はお仕事の紹介を希望しないため、登録の解除をお願いします。あわせて、登録情報の削除をお願いできますでしょうか。手続きが完了しましたら、ご連絡をいただけますと助かります。

解除しても残る記録がある

登録を解除しても、働いた記録がすぐ全部消えるわけではありません。派遣会社は、派遣ごとの就業の記録(派遣元管理台帳)を3年間保存する義務があります(厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領 第8 派遣元事業主の講ずべき措置等」)。

一方で、求人の案内に使うための登録情報は、使う必要がなくなれば本人が削除を求められる場合があります。個人情報保護委員会のQ&Aでも、案内の送付を止めたあとに本人が消去を求めた場合などが、応じる必要のある例として挙げられています(個人情報保護委員会「ダイレクトメールの停止及び個人情報の消去を求められた場合」)。

登録解除で消えるもの・残るもの

削除を頼めるもの
中身
求人案内のための登録情報(希望条件・連絡先など)
頼み方
連絡停止のあと、登録情報の削除を求める
一定期間残るもの
中身
派遣元管理台帳など、実際に働いた記録
期間
法律で3年間の保存が決められている

図:案内用の登録情報は削除を頼めるが、働いた記録は法律で3年間残る。

複数の派遣会社に登録している場合は、使わない会社だけ整理すれば十分です。使い分けの考え方は派遣会社の複数登録にまとめています。

辞めさせてもらえない・強く引き止められたとき

派遣会社に伝えても話が進まないときは、都道府県労働局などの総合労働相談コーナーに相談できます。予約は要らず、無料で、退職や雇止めを含む労働問題を扱っています(厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」)。

相談する前に、次のものをそろえておくと話が早く進みます。

  • 契約書(就業条件明示書・労働条件通知書)
  • 派遣会社とのやりとりの記録(メール・日時のメモ)
  • 辞めたい理由を裏づけるもの(診断書・勤務表など)

退職代行を使う人もいますが、派遣の場合は派遣会社が話し合いの相手になります。まず担当者の上の責任者(派遣元責任者)に相談し、それでも動かないときに外部を頼る順番が無難です。

よくある質問

Q1:派遣を辞めることは派遣先に先に言ってもいいですか?

先に派遣会社へ伝えてください。雇用契約の相手は派遣会社なので、終わり方や最終日を決めるのも派遣会社です。派遣先には、担当者と相談した順番で伝えます。

Q2:派遣を途中で辞めたら違約金を払う必要がありますか?

違約金をあらかじめ決めておく約束は、労働基準法16条で禁止されています。ただし本人の責任で実際に損害が出た場合の賠償までは禁じられていません。派遣会社と話して、合意のうえで終えるのが安全です。

Q3:派遣を辞めたいとき、理由はそのまま伝えるべきですか?

事実を短く伝えれば十分です。体調や家庭の事情なら、いつから働けないかを添えると話が進みます。職場の不満は、契約と違う点など具体的な部分だけ伝えるほうが受け止めてもらいやすいでしょう。

Q4:派遣会社の登録を解除したら、個人情報は消えますか?

求人案内のための登録情報は、削除を求められる場合があります。一方で、実際に働いた記録(派遣元管理台帳)は、派遣会社に3年間の保存義務があります。削除を頼むときは、どこまで消えるかを確認しておくと安心です。

Q5:一度辞めた派遣会社に、あとで再登録できますか?

多くの会社で再登録はできます。途中で辞めた場合でも、事情を派遣会社と話して終えていれば、改めて仕事を紹介してもらえることがあります。連絡を絶って辞めると、次の紹介が難しくなりやすい点には注意してください。

まとめ:何を辞めるかを決めてから、派遣会社に伝える

この記事のまとめ

  • 派遣の辞め方は更新しない・途中で辞める・無期雇用を辞める・登録解除の4つ
  • 最初の連絡先は派遣先ではなく派遣会社
  • 更新しないなら満了の1か月前までに伝えるのが目安
  • 途中で辞めるにはやむを得ない事由が要り、違約金の約束は禁止
  • 自己都合退職の給付制限は2025年4月以降は原則1か月
  • 登録解除しても働いた記録は3年間残る

辞めるときの揉めごとの多くは、伝える順番と時期のずれが原因です。自分がどの形に当たるかを決めてから派遣会社に相談すれば、たいていは穏やかに終えられます。

次の職場は、辞める前から探し始めておくと焦らずに選べます。求人数の多い会社に登録して、希望に近い条件の仕事があるか見てみてください。

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免責事項

※本記事は派遣の退職・登録解除に関する公開情報をもとにした整理です。個別の事情で扱いが変わることがあります。具体的な判断は、契約書の内容と派遣会社・都道府県労働局・ハローワークの案内をご確認ください。

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この記事を書いた人

Sakamotoです。大手の人材派遣会社でコーディネーターを10年務め、製造から事務、IT、医療まで延べ5,000件のマッチングを担当してきました。派遣先とのトラブル対応や契約更新の交渉も、現場で数え切れないほど経験しています。

いちばん多かった相談は「結局どこに登録すればいいんですか」でした。はっきり書くと、「とりあえず大手」で選ぶと失敗します。工場系に強い会社、事務に強い会社、正社員への転換に強い会社と、各社の本当の強みはホームページには載っていません。コーディネーター同士のつながりや、派遣先からの声でしか見えてこない部分です。

登録のタイミング、複数社のかけ持ち、時給交渉の進め方まで、派遣会社の内側で働いてきた経験から具体的にお伝えします。これから派遣で働く方も、今の派遣先を変えたい方も、参考にしてください。

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